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十六羅漢

お寺の歴史

2025.07.08

長安寺には、地域の皆様にぜひ知っていただきたい、大変貴重な絵画が伝わっています。
それは、江戸時代後期から明治にかけて活躍した絵師、堀江友聲(ほりえ ゆうせい)によって描かれた「羅漢図(らかんず)」です。

さて、この絵図に描かれている「羅漢」とは、お釈迦様の教えを守り、広める役割を担った高弟たちのことです。厳しい修行を積み、人々を救う力を得た聖者として、古くから信仰の対象とされてきました。

友聲が描いた羅漢たちは、一人ひとりの表情や姿が実に個性豊かです。厳しい修行者の顔つきの中にも深い慈愛が感じられたり、超人的な存在でありながらどこか人間的な親しみやすさが滲み出ていたりと、見る者を引き込む不思議な魅力に満ちています。その力強い筆致は、羅漢たちの内なる精神性までも見事に描き出しているかのようです。

そして、この羅漢図について何よりも驚くべきは、作者である友聲がわずか16歳か17歳の頃に描いたと伝えられていることです。

この郷土の偉人が、若き日に持てる力のすべてを注ぎ込んで描いたであろう羅漢図。ご来山の折には、ぜひ間近でご覧いただき、その筆の勢いや羅漢たちの表情から、若き天才絵師の息吹を感じ取っていただければ幸いです。